物価高対策に「ポイントアプリ」利用は約4人に1人、地域限定アプリ利用意向は7割超 コード決済の利用率が過去最高の68%、税金の支払いなど利用場面が多様化
インフキュリオン、「決済動向2023年下期調査」を発表
株式会社インフキュリオン(本社:東京都千代田区、代表取締役:丸山 弘毅)は、全国の16歳〜69歳男女5,000人を対象に「決済動向2023年下期調査」を実施しました※1。
※1 調査結果のパーセンテージは、小数点以下第一位を四捨五入した数値です。合計が100%にならない場合があります。
<調査結果トピックス>
■物価高対策に「ポイントアプリを利用」は約4人に1人 地域限定アプリの利用意向は74%
■コード決済の利用率が68%、過去最高値を続伸 税金の支払いなど利用場面も多様化
■コード決済アプリの送金利用は約3割 現金手渡しの代替手段に
■30代以下は約4人に1人がブランドデビットカードを利用
■物価高対策に「ポイントアプリを利用」は約4人に1人 地域限定アプリの利用意向は74%
「物価上昇をきっかけとしてあなた自身が新しく利用を始めたものはありますか」という質問に対し、物価高対策にポイントアプリの利用を始めた人は約4人に1人(24%)、コード決済アプリの利用を始めた人は約6人に1人(17%)の結果になりました<図1>。
<解説>
日本では従来から、購入金額に応じてポイントや特典を受け取ることができるポイントアプリの提供が盛んです。今回の調査で、最近の物価高がポイントアプリへの関心をさらに高めていることが確認できました。事業者にとってもポイントアプリは、クーポン配布等の来店促進策や、自社独自のコード決済による決済手数料の削減といった様々な施策の土台にもなり得ます。レジでアプリ画面を提示することに慣れた消費者層が拡大している中、新たな顧客接点として重要度を増していくと見られます。
図1:物価高対策で新しく利用を開始したサービス(n=5,000,複数回答)
質問「物価上昇をきっかけとしてあなた自身が新しく利用を始めたものはありますか。」
「地域限定」の金融サービスに焦点を絞り、ポイント還元やキャッシュバック特典がある地域限定アプリ/サービス、デジタル商品券、デジタル通貨に関する利用意向に関する質問では、それぞれ5割を超える利用意向が見られました。中でも地域限定アプリ/サービスでは「機会があれば利用したい」との回答が74%にも上りました<図2>。一方で、地域限定アプリ/サービス、デジタル商品券、デジタル通貨のいずれも「利用未経験であるが、機会があれば利用したい」とする回答者がもっとも多い結果になりました。
<解説>
地域限定の金融サービスの利用経験者の割合はまだ小さく、これらのサービスの提供と利用はまだ限定的です。一方で、利用経験者・非経験者とも利用意向が高いことを鑑みると、これらのサービスは自治体にとって地産地消や地域振興の一手となる可能性があります。
図2:地域限定のアプリ/サービス・デジタル商品券・デジタル通貨の利用意欲(n=5,000,単一回答)
質問「地域限定アプリ/サービス・地域限定のデジタル商品券・地域限定のデジタル通貨に関して、あてはまるものをお答えください。Webページでの提供も含めてお答えください。」
■コード決済の利用率が68%、過去最高値を続伸 税金の支払いなど利用場面も多様化
「決済カードや決済アプリの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください」という質問に対し、全回答者に占めるコード決済アプリ利用者の割合は68%となり、2015年の調査開始以降の最高値を続伸する結果になりました<図3>。利用場面ではコンビニ(77%)やスーパー(59%)、ドラッグストア(48%)がトップ3の利用率となる中、百貨店・ショッピングセンターでの利用も約3割(29%)、税金支払いでの利用も約1割(10%)に達しています。<図4>。
<解説>
コード決済は日用品など比較的単価の低い買い物での利用がメインと考えられてきました。しかし今回の調査では、比較的単価が高いと考えられる百貨店・ショッピングセンターや税金の支払いへも利用が拡大していることが確認できました。単価を問わず、利用できるところではできるだけ利用するという行動変化が進行しています。「キャッシュレス決済利用者の約4割はキャッシュレスが使えない店舗は避ける」という経済産業省の調査結果を踏まえると※2、コード決済をメインの決済手段としている層にとって、コード決済への対応の有無が買い物先の選択において重みを増していくことが予想されます。事業者は、コード決済などキャッシュレス決済について、機会損失の観点からも導入の要否を判断すべき段階にきています。
※2 「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会 とりまとめ」
図3:決済手段の利用率推移(2022年4月<n=20,000>,2023年4月<n=20,000>,2023年12月<n=5,000>,複数回答)
質問「決済カードや決済アプリの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください。」
図4:過去1年間でのコード決済アプリの利用場所(n=3,420,複数回答)
質問「あなたが過去1年間に「QRコード決済アプリ」で決済したことがある場面をすべてお選びください。」
■コード決済アプリの送金利用は約3割 現金手渡しの代替手段に
「送金手段について、あなた自身の利用状況をお答えください」という質問では、1位「銀行のインターネットバンキングサイトで振込」(33%)、2位「銀行のスマートフォンアプリで振込」(29%)、3位「コード決済アプリ」(27%)の結果となりました<図5>。一方、コード決済アプリと同様に、電話番号やメールアドレスを入力することだけで異なる銀行間で1回最大10万円まで手数料無料で送金ができる「ことら送金」の利用率も、サービス開始後約1年※3で7%まで達しました。
※3 2022年10月に株式会社ことらよりサービス提供開始
<解説>
従来から個人間での金銭のやりとりは「現金手渡し」がメインです。それに対しコード決済アプリによる送金は、相手の口座番号を確認する必要もなく送金手数料もかからないなど、手軽に送金できる利点があります。個人間での現金手渡しを代替する手段として、利用率が増加してゆくことが予想されます。外食等の割り勘精算やお祝い金などインフォーマルな個人間での少額送金はコード決済アプリや「ことら送金」と親和性が高いと考えられます。利用者は従来の銀行振込と併せて使い分けていくようになると推測します。
図5:過去1年間でのスマートフォン/パソコンでの送金利用(n=5,000,複数回答)
質問「送金手段について、あなた自身の利用状況をお答えください。過去1年間を振り返ってお答えください。」
■30代以下は約4人に1人がブランドデビットカードを利用
「決済カードや決済アプリの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください」という質問に対し、30代以下の約4人に1人がブランドデビッドカード※4の利用者であることが分かりました<図6>。また、全体のデビットカード利用率は前回調査(2023年4月)より3ポイントの伸びとなりました<図3>。
※4 預金口座と紐付けられた決済用カードのこと。クレジットカードの国際ブランドであるVISAやJCBが、銀行などの金融機関と提携して発行し、カードで決済すると代金が即時に口座から引き落とされる仕組み。
<解説>
ブランドデビットカードは発行に際して審査が不要、かつ利用金額が即座に口座に反映されるという点がクレジットカードに対する特徴です。日常的な口座利用を促す顧客接点として、多くの銀行が戦略商品として力を入れています。今後の優良顧客予備軍を含む若年層で利用者が増加傾向にあることは、銀行の戦略が成果を挙げていることを示唆しています。また、最近ではネット専業銀行が口座数・預金量とも伸ばしていますが、これらの銀行の多くがキャッシュカードにブランドデビッドカード機能を付帯させていることも、利用率向上に貢献していると見られます。新NISAへの関心の高まりも、口座開設そしてブランドデビットカード利用への導線として好循環を生んでいると推測されます。
図6:決済手段の利用率推移利用率推移(n=年代別に図内記載,複数回答)
質問「決済カードや決済アプリの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください。」
<調査概要>
調査手法:インターネット調査
調査地域:日本国内
調査対象者:16~69歳男女
対象人数:5,000人
調査期間:2023年11月20日(月)~11月22日(水)
調査主体:株式会社インフキュリオン
<監修者プロフィール>
株式会社インフキュリオン コンサルティング
マネジャー
森岡 剛(もりおか つよし)
大手システムインテグレーター(SIer)を経て2014年より現職。「決済動向調査」の主担当として調査設計からデータ分析を担う。社内外の各種メディアへの寄稿や社外講演など情報発信にも取り組む。博士(コンピューターサイエンス、トロント大学)。
※本リリースは2023年12月14日現在の情報をもとに作成されたものです。今後、内容の全部もしくは一部に変更が生じる可能性があります。
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本件に関するお問い合わせ先
株式会社インフキュリオン マーケティング&コミュニケーションズ部 広報
株式会社インフキュリオン コンサルティング 事業企画部 メディア・ラボ室
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